2019年3月1日から3日の3日間、岩手県紫波町が主催する「SHIWA SAKE CAMP」が開催されました。
SHIWA SAKE CAMPとは、全国から大学生が集まり、酒を切り口とした紫波町の地域活性化を考える2泊3日の合宿プログラムです。

昨年3月8月につづき、今回で3回目の開催となりました!
全国から11名の大学生が集まりました。

 


3日間で企画提案!1日目スタート


学生たちは3つのチームに分かれ、2泊3日で紫波と酒の魅力について調べ、「酒を使って、若者が紫波町を訪れたくなるアイデアを考えよ!」というテーマのもと、企画提案を行います。

1日目は、これから3日間を共に過ごす仲間のことを知ることからスタート。
自己紹介やゲームを通して、チームづくりを行いました。

 

 

これまでのSHIWA SAKE CAMPには未成年の参加者もいましたが(もちろんお酒は飲みません)、今回は全員が20歳以上!!

「地元のことをもっと知りたい」と参加してくれた岩手出身の学生や、地域活性に関心のある学生、そして「お酒が好き」「酒造りの知識を身につけたい」と参加してくれた学生も多くいました。

 


紫波と酒について学ぶレクチャー


紫波町役場・須川翔太さん、廣田酒造店・門ノ沢康也さん、紫季のマルシェ・畠山まゆみさんの3名から、紫波町と紫波の酒についてレクチャーを受けました。

 

紫波町役場・須川翔太さん

 

プロモーションムービーも見ながら、紫波町の概要や“酒のまち”としての魅力をご紹介いただきました。

「単なるアルコール飲料ではないお酒の魅力を知って、もっと好きになって帰ろう」「どうすれば自分の仲間(共感者)を増やせるか考えよう」「地方では全てのことが自分ごと。自分だったらどうするか?を追求しよう」といった最終日の企画提案に向けたミッションも与えられました。

 

廣田酒造店・門ノ沢康也さん

 

廣田酒造店での取り組みをはじめ、酒造りの工程や日本酒の消費傾向などの日本酒に関する基礎的な情報を教えていただきました。

レクチャーの後に行った感想共有では、「これだけの手間が掛かって日本酒ができているということを初めて知った。日本酒は高いというイメージがあるけど、お酒が造られる工程を知ったら安く感じる」といった声も上がっていました。

 

紫季のマルシェ・畠山まゆみさん

 

「ほしい暮らしは自分でつくる」をモットーにしている畠山さんは、町内外の農家や飲食店、手作り雑貨のお店などが集まり、農家さんと地域の人がつながる場にもなっている「紫季のマルシェ」の運営に携わっています。

紫波町の主要産業である農業に対する想い、紫季のマルシェを始めたことで生まれた農家さんと飲食店のコラボなど、アイデアに溢れたワクワクするお話を聞かせていただきました。

 


酒蔵フィールドワーク


次は、紫波町に全部で4つある酒蔵のうち「月の輪酒造店」へ。
全国的にも珍しい女性杜氏である横沢裕子さんに案内していただきました。

 

日本酒の可能性 月の輪酒造店 杜氏/横沢 裕子

横沢さんが杜氏になるまでのストーリーや月の輪酒造店の取り組みなど、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

月の輪酒造店・横沢裕子さん

 

廣田酒造店の門ノ沢さんから学んだ酒造りの工程と照らし合わせながら、実際の現場を見て回ります。

酒蔵見学の後は、月の輪酒造店の敷地内にある直売店「わかさや」で日本酒を試飲しました。
この日はお休みでしたが、普段は糀でつくるジェラートを食べることもできます。

 

 

日本酒を味わいながらも横沢さんへの質問は止まるところを知らず、たくさんの質問を投げ掛けていました。

 


懇親会で酒粕料理を堪能!


1日目の最後は、紫波町の日詰商店街にある「藤屋食堂」で懇親会。

 

 

月の輪酒造店と藤屋食堂では共同で学生インターンを受け入れており、インターン生が主体となって考案した酒粕料理の数々を堪能しました。

 

 

「日本酒が苦手でも、酒粕料理なら楽しめそう」「自分も酒粕や日本酒を使った料理を考えてみたい」と、これから考える企画のヒントを得ることができました。

懇親会後は、有志で夜のフィールドワーク(二次会)へ!

 

 

酒粕パウダーを使用したナポリタンや焼うどんなど、ここでも酒粕料理を堪能!

 


2日目スタート!ワイナリーを見学


2日目は、ワイナリーのフィールドワークからスタート。
町内で栽培された良質なぶどうのみを使用し、町内のワイナリーで醸造する「自園自醸ワイン」をコンセプトにしている「紫波フルーツパーク」へ。

醸造責任者である佐藤大樹さんに案内していただきながら、醸造用ぶどうを育てている畑や工場の見学をしました。

 

紫波フルーツパーク・佐藤大樹さん

 

見学後は、お決まりの試飲。
工場隣にある直営店で紫波フルーツパークでつくられたワインの数々を味わいました。

 

 


日詰商店街で先輩の話を聞く


そして再び、昨夜訪れた日詰商店街へ。

商店街にあるコミュニティスペース「鈴の音サロン」にて、学生ながら日本酒を活用した活動をしている岩手大学4年・久保田真美さん、東洋大学3年・田崎菜那子さんの2名に、それぞれの取り組みについてお話いただきました。

 

岩手大学4年・久保田真美さん(写真右端)

 

久保田さんは、若い世代に日本酒の魅力を伝えるために、岩手大学で「SAKE – SAKE」というイベントを開催したり、岩手大学の学生と紫波の酒蔵のコラボによる日本酒造りなどに取り組んでいます。

 

東洋大学3年・田崎菜那子さん

 

「酒粕を使ってまちおこしをしたい!」と、1年前に廣田酒造店でのインターンシップ後に大学を休学して紫波町での活動を続けた田崎さん。

紫波町の酒蔵や飲食店の方を巻き込みながら、酒粕を活用した商品開発や、酒粕料理を提供する飲食店マップづくりなどに取り組んでいました。

 

 

日詰商店街にある「鈴徳商店」では、田崎さんと共同で考案した「しわっこパン」が実際に販売されています。

 

参加者と同じ学生、かつ「酒を使って、若者が紫波町を訪れたくなるアイデアを考えよ!」という参加者に与えられているテーマと近いことに取り組んでいるということもあり、2人に対する質疑応答は大盛り上がりでした。

 


いよいよ佳境へ!企画づくり


レクチャーやフィールドワークで得た情報を整理し、いよいよ企画づくりへ。

 

他地域で実践されているおもしろいプロジェクトを参考にしたり、メインターゲットである若者が好むものから考えてみたり、さまざまな視点から企画のタネとなるアイデアを考えていきます。

あっという間に模造紙がアイデアでいっぱいに!

 

 

紫波のお酒も味わいながら企画づくりを進めます。

 

 

時に紫波町民の方にインタビューをしに行ったり、日詰商店街へ再度フィールドワークに出掛けるチームも。

 

 


3日目 企画発表会!


酒を使って、若者が紫波町を訪れたくなる企画づくりに取り組んだ3日間。
最終日は、その成果を発表します!

 

企画名:マリアー酒(チーム名:とうほくへべれけ部

 

8月上旬にオガール広場で開催される「オガール祭り」に来る20〜30代の日本酒が苦手な若者がターゲット。

20〜30代の方数名にインタビューを行ったところ、日本酒が嫌いになってしまう人は、最初に飲んだ日本酒が自分に合わずおいしくないと感じてしまったり、日本酒を飲むきっかけがないことが原因だということに気づきました。

 

そこで、「日本酒チャート」や「日本酒カード」といったツールを作成。

 

       

「日本酒カード」のイメージ

 

オガール祭り内で日本酒ブースを出店し、ツールを活用しながら自分好みの日本酒を見つけてもらい、日本酒を好きになってもらおうという企画です。

 

企画名:Purple Wave Fes(チーム名:パープルアーミーメン

 

紫波町を知らない20〜30代に、紫波のことを知ってもらうきっかけをつくるための企画です。

「紫波」という町名にちなんで、紫づくしのフェスを開催!

会場の装飾はもちろん、ドレスコードも紫に設定。紫にちなんだフードやドリンク、ボディペイントなどの体験コーナー、パープルセット(日本酒+紫野菜のチップやディップ)とウェーブセット(日本酒+紫うにや牡蠣)といった紫波らしい料理やお酒などが気軽に楽しめるメニューを用意します。

 

20〜30代の中でも、仲間と盛り上がれることが好きな人やSNS映えが好きな人をターゲットにし、楽しい体験とSNS映えする空間を提供することで「また紫波にきたい」「別の友達も連れてきたい」と思ってもらうことがねらいです。

 

 

企画名:酒蔵Cafe(チーム名:#もえとゆいとあべちゃんと

 

盛岡に観光に来る、映えスポットや話題性のあるものが好きな若者がターゲットにし、酒蔵をイメージした空間づくりや日本酒を使ったメニューにこだわった古民家風カフェをつくるという企画です。

 

酒樽のインテリアや酒瓶を活用した照明など、酒蔵をイメージした空間づくりを行い、初級・中級・上級といった難易度別の日本酒とスイーツのコラボメニューを用意。

また、日本酒に合うおつまみづくりやオリジナルラベルづくりといった体験メニューも用意し、「明日の日本酒生活を変える」をキャッチコピーに、帰った後も人に伝えたくなる体験を生み出すこと目指します。

 

 

 

発表後は「作戦会議」と題して、発表会に来てくれた紫波町民の方からアドバイスをいただき、企画をさらにブラッシュアップしました。

 


3日間の振り返り


最後は、3日間の振り返りをしながら、今後どう紫波と関われるか考え、3日間共に過ごした仲間と共有しました。

 

 

「学生の提案に紫波町の方々が本気で向き合ってくれて驚いた。せっかく考えた企画を実現させたい!」「家族や友達に紫波やお酒の魅力を伝えたい」「酒が好き、というだけで参加したけど、地域活性について考えることもおもしろかった」といった感想を聞くことができました。

 

SHIWA SAKE CAMP終了後、すぐに紫波町の方に考えた企画を提案しに行ったチームもあり、さっそく企画の実現に向けて動き出しています。

今後の進捗にもご期待ください!

 

 

 

 

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